第498回 神津朝夫先生「茶会記の世界」
今月は神津朝夫先生にお越しいただき、茶会記に関するお話を聞きました。
昨年ご好評だった神津先生のお話ということもあり、多くの聴講者で90分間、熱気を帯びました。
私たちが普段大寄せなどで目にする会記は、主催者側がお客様に事前にお茶会の期待度を膨らませるための予告編で、主催者や亭主側からお客様へのメッセージがこれられたものですが、昔は茶会の終わっあとに亭主側が内容を記したものや、招待されたお客が記憶をたどりながらお茶事の様子を書き留めたものとがあり、それはまさに記録のためであったと言うお話は大変興味深いものでした。
ご想像の通り、同じ茶会について亭主側とお客側両方の記録が茶会記として残っているものもあるそうで、照らし合わすと記載が違うことがあるそうです。その具体例のご講義に皆さんも興味深く聞いておられました。
過去の茶会記を読み解きながら、お茶事には今も昔も主催者の明確なメッセージや時に遊び心が込められていて、それがまさにおもてなしの表現方法であること、そして、その受け止め方はお客ごとに様々な感じ方があって良いのであり、正確であることの重要性よりも、昔の茶会記のように後から振り返りながら相手の想いを受け止めるということが大切なのではないか、という神津先生のメッセージが心に残りました。
過去の茶会記は、当時の生活形式や政治的背景など様々なストーリーを現代の我々に伝えてくれる貴重な資料であることも、先生のお話から学ぶことができました。
連日猛暑日が続く中で今回も熱心な多くの聴講者の皆様にご参加いただき、盛会に終えることができました。感謝申し上げます。
大阪四青年部連合会
会長 長谷川幸則