第486回 中村昌生先生「茶室について」
建築家で茶室研究の第一人者でいらっしゃる中村昌生先生に、四月の教養講座の講師としてお出ましいただきました。
「大阪は遠いなあ〜、近頃はあんまり京都から出ないから」とおっしゃりながら、スーツ姿に帽子を被られて笑顔で控え室に来られました。
御年90歳を迎えられる中村先生には、毎年ご講演にお越しいただいてますが、遡ると大阪での教養講座が始まった昭和40年から長年お世話になっております。
今回もたくさん貴重な写真をお持ちいただいて、様々な茶室の事例、特徴やその効果、なぜその間取りなのか、利休が目指したもの、宗旦が目指したもの、茶室に込められたミステリーを紐解くように丁寧にご解説頂きました。
終演直前の質疑応答後に、先生からは思いがけないお言葉が…
「私も長い間、茶室の研究をしてきましたが、よくわからないんですよ。」とご謙遜交じりにおっしゃり、会場が一瞬どっと笑いに包まれました。
付け加えて、「同じ茶室を見ても、時を経るとまた違った印象、感想が湧いてくるんです。」と、素敵な笑顔でお話しされました。
また「茶室は建築物だけれども、重要な茶の湯の道具の一つです。」とのお言葉も心に残りました。
悠久の歴史に包まれた当時の茶人が残したメッセージを、現代の私たちに伝えてくださる大変貴重なご講義でございました。
これからも中村先生からまだまだ多くを学ばせていただきたい、そんな思いになりました。
ご講義終了後も、先生のお人柄に触れ握手を求める聴講者もいらっしゃって、最後まで和やかな時間が流れました。
(大阪四青年部連合会 会長 長谷川幸則)
☆☆☆ 次回 第487回茶道教養講座のご案内 ☆☆☆
日時 : 5月10日(水) 19:00~20:30
講師 : 古曽部焼 寒川義崇先生
演題 : 高槻焼について
会場 : 大阪市住まい情報センター 3階ホール
(最寄り駅:天神橋筋六丁目駅 3号出口直結)